生物工学演習E -第9回- z変換

2024-07-09

今回の概要

z変換を理解する.

z変換

信号\(x(t)\)のz変換は以下のように定義される.

\begin{align}
X(z) = \sum_{n=0}^\infty x_n z^{-n}
\end{align}

ここで\(z =e^{\tilde{s}} = e^{\tilde{\sigma} + j \tilde{\omega}}\)である.

\(s\)や\(\sigma, \omega\)の上にチルダがついているのは離散化した際にサンプリング間隔に応じて正規化されるためである.
例えば\(\tilde{\omega} = \omega T_s\)で\(T_s\)秒間で何rad位相が進むのかを表す.

z変換はラプラス変換の離散版とも呼ばれ,信号\(x(t)\)に間隔\(T_s\)のくし形関数をかけてサンプリングした関数\(f(t)\sum_{n=-\infty}^{\infty}\delta (t-n T_s)\)をラプラス変換することで導出できる.

\begin{align}
\mathcal{L}[x(t)\sum_{n=-\infty}^{\infty}\delta (t-n T_s)] &= \int_0^\infty x(t) \sum_{n=-\infty}^{\infty}\delta (t-n T_s) e^{-st} dt\\
&= \sum_{n=-\infty}^{\infty} \int_0^\infty x(t) \delta (t-n T_s) e^{-st} dt\\
&= \sum_{n=0}^{\infty} x(nT_s) e^{-snT_s}\\
&= \sum_{n=0}^{\infty} x_n e^{-\tilde{s}n}\\
&= \sum_{n=0}^{\infty} x_n z^{-n}
\end{align}

最終的に\(z\)で表現するのはラプラス変換における\(s\)と同様に\(z^{-1}\)が今後の計算で重要な意味を持つからである.

z変換の計算例

\begin{align}
x_n = 2^n
\end{align}

ただし,\(n=0,1,2,3,\dots\)の場合

\begin{align}
\mathcal{Z}[x_n]
&= \sum_{n=0}^{\infty} x_n z^{-n}\\
&= \sum_{n=0}^{\infty} 2^n z^{-n}\\
&= \sum_{n=0}^{\infty} (2z^{-1})^{n}\\
&= \frac{1}{1-2z^{-1}}, ただしz^{-1}<2
\end{align}

z逆変換

\begin{align}
x_n = \frac{1}{2\pi j}\oint_{c} X(z) z^{n-1}dz
\end{align}

がz逆変換の公式であるが基本的にはラプラス変換と同様に対応表を使って計算することになる.

時間領域z領域
\(\delta_n\)1
\(a^n\)\(\frac{1}{1-az^{-1}}\)
\(ax_n+by_n\)\(aX(z)+bY(z)\)
\(x_{n+1}\)\(z^{+1}(X(z) – x_0)\)
基本的なz変換対応表

z変換による差分方程式の解法

ラプラス変換では微分方程式を手続き的に解くことができた.その離散版であるz変換では差分方程式を手続き的に解くことができる.

以下の差分方程式を考える.

\begin{align}
y_{n+2} = 5y_{n+1}-6y_{n}, ただしy_0=13, y_1 = 30
\end{align}

これをz変換すると

\begin{align}
z^{+2}Y(z) – z y_1 – z^2 y_0 = 5(zY(z) – z y_0)-6Y(z)\\
z^{2}Y(z) – 30 z – 13 z^2 = 5(zY(z) – 13 z)-6Y(z)\\
(z^{2}- 5z+6)Y(z) =13 z^2 – 65 z + 30 z\\
(z^{2}- 5z+6)Y(z) =13 z^2 – 35 z\\
Y(z) =\frac{13 z^2 – 35 z}{(z^{2}- 5z+6)}\\
Y(z) =\frac{13 z^2 – 35 z}{(z- 3)(z-2)}\\
Y(z) =\frac{13 – 35 z^{-1}}{(1- 3z^{-1})(1-2z^{-1})}\\
Y(z) =\frac{4}{1- 3z^{-1}} + \frac{9}{1-2z^{-1}}
\end{align}

逆z変換すると

\begin{align}
y_n = 4\times3^n+9\times2^n
\end{align}